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生物多様性基本法成立記念授業:講義編  多様性という豊かさへ
生物多様性基本法の意義と今後の影響  場所:東京キャンパス(地球環境パートナーシッププラザ EPO会議室)
日程:2008年7月4日(金) 18:00開場 18:30〜20:30
募集:40名
授業タイプ:学習型 講義
参加費:3000円


 多様な生物を守り、自然と共生する社会の実現を目指す「生物多様性基本法」が、2008年5月28日に成立しました。これを記念し、「生物多様性基本法成立記念授業」講義編を開催し、法律成立の背景・目指すこと・社会に与える影響について、行政・政治・市民の立場から語っていただきました。この熱い2時間半の語らいの様子をレポートします。実習編は「長野県飯島レポート」をお読みください。
生物多様性基本法成立記念授業:講義編 生物多様性基本法成立記念授業:講義編 生物多様性基本法成立記念授業:講義編

日時 7月4日 18:30〜21:00
場所 EPO
司会: 藤木照治(NPO法人えがおつなげて)
パネリスト: 舟山康江(民主党参議院議員)、米長晴信(民主党参議院議員)、亀澤玲治(環境省)
松木洋一(日本獣医生命科学大学 応用生命科学部名誉教授)、森田美和子(アグリネイチャースチュワード協会)
ファシリターター: 広石拓司(NPO法人えがおつなげて)、曽根原久司(NPO法人えがおつなげて)
舟山康江氏(民主党参議院議員)より、生物多様性基本法成立の背景をご説明いただきました。
 1992年の地球サミットにて日本も条約に署名。生物多様性国家戦略を閣議決定するが、縛りがないため効果に直結しにくいものであった。2004年野生生物保護市民提案を参考に「野生生物保護基本法」が成立され、2007年1月に民主党のマニュフェストに掲げた。これらの経緯を経て、2008年5月「生物多様性基本法」が成立した。
生物多様性基本法成立記念授業:実習編
米長晴信氏(民主党参議院議員)より、生物多様性基本法成立の位置づけおよび内容をご説明いただきました。
 基本法の位置づけは、成立したこと自体が画期的、と捉えるべきである。第8条で、政府は生物の多様性に保全及び持続可能な利用に関する施策と実施する為必要な法制上、財政上又は税制上の措置その他の措置を講じなければならない。と謳っているが、直ちに予算がつくものではない。25条においては、開発に際しての事業者の環境アセスメントの義務付けについて言及しているところが重要である。
生物多様性基本法成立記念授業:実習編
亀澤玲治氏(環境省自然環境局生物多様性地球戦略企画室長)より、基本法を運用する立場からのご説明をいただきました。

環境基本計画 
1.生物多様性国家戦略
2.循環型社会形成推進基本計画

 2010年の‘COP10@名古屋’を見据えた法律制定と言える。従って今後の2年間についてどういう予定があるか?と言うと、「2010年目標(生物多様性向上を目指す)に達成させる。」である。

国の関わりだけ ⇒ 国家戦略 と比べると
国の関わり+地方自治体+NGO+企業(全体の関わりを持つことが出来たため)⇒ 基本法成立
生物多様性基本法成立記念授業:実習編
松木洋一(日本獣医生命科学大学 応用生命科学部名誉教授)よりEUの農業環境政策における生物多様性への取組と日本の課題についてご説明いただきました。また、Nature Management Farmingを「自然管理農業」と訳さずに「自然共生農業」と訳された“そのココロ”を明かしていただきました。

ヨーロッパでの4つの反省
  • 近代農法に寄る集約化・化学化・機械化がもたらした環境汚染
  • 食の安全性への脅威
  • 生物生態系破壊
  • 動物虐待
  • EUから学ぶ点
  • 直接支払い政策→生物多様性を向上させ、ブランド化する
  • 農業者・消費者・食品業者の教育
  • 21世紀農業=自然共生農業のキーワード
  • 生物多様性保全:農業の持続的発展のためには、生物多様性の保全のために生物生態系とその生息環境である太陽光・大気・水・土・地形などの物理的基盤を経営管理する自然共生農業システムへの転換が不可欠である。
  • 家畜の健康と福祉:その生理的行動要求にあった飼育環境を整備して、ストレスを軽減することによって病原菌への免疫力を高め、健康と福祉を実現する。健康な家畜が供給する畜産物によって人間の健康が実現する。
  • 生物多様性基本法成立記念授業:実習編
    森田美和子 (アグリネイチャースチュワード協会)
    「生物多様性は人類の存続の基盤となっている」を認識出来る一般市民は少ない。また生活の中の労働がすでに製品化されている。

     東京の圃場においては、畑の中の生物は生産者にじゃまにされるが、伝統的生活文化の中では、『チャノキで垣根を作る。チャノキには、チャドクガがつく。チャドクガは蜘蛛によって食される。生き延びたチャドクガは、ウコッケイが食す。』で回っていた。

     身の回りの材料を使った生活としては、野菜を縛るのは藁、豆の支柱は剪定枝、落ち葉は利用することにより『季節を感じる毎日』『感謝を感じる毎日』となる。

     生産者が生物多様性の意義を認識し、市民を巻き込んでいくべきである。
    生物多様性基本法成立記念授業:実習編
    <第2部 シンポジウム>
    曽根原よりパネリストのみなさんに、生物多様性基本法を効果的に普及する方法は何かと問題提起、パネリストのみなさんから意見をいただきました。
    舟山:  NPO・NGOでは、待ちに待った法律であるが、しかし一般市民の関心度は低い。
    亀澤:

     国家戦略の基本目標は4つあるが、第1の目標は「社会に浸透させる」 認知度30%(平成16年調査)を50%にあげることを目標=企業・地方自治体と連携企業活動のガイドラインを創っていきたい。

    米長: 「つかみ」を表示する必要がある。例えば、地球温暖化によって「スバル島」は消滅する。「この生物が消滅すると世の中はこうなる」を示すべき。
    松木:  生き物調査に対する反応(都市農業者60代:自分の畑、屋敷林に100種以上の生物の存在を始めて知った)から、農業者の生き物への関心の薄さを実感した。二次的自然は農業自然であるので、農業者がこれを守るべきである。農業者自身が自然管理者となるべきである。
    森田:  子供にどれだけの時間‘土いじり’させられるかが⇒普及につながる遊びが切れると=文化が切れる 従って、言葉で説明できない部分は身近で体験すべきである。

    最後に、曽根原よりパネリストの皆さんに「生物多様性を向上していくために必要とされる、多様な組織の連携を阻害していることは何か?」の問題提起に対して。

    松木:  個々の学会。従ってnon academic organization(NAO)を作るべきである。またNPO,NGOが独立していないことは問題であろう。独立してこそ連携が可能となる。
    森田:  都市農家への体験学習が、家族で参加できるような仕組みになって欲しい。都市での農地(チャリ範囲農地)を守るまたは作ることがたいへん重要であるが、都市での農業者に自分のやっている仕事は「大切な仕事」であることを自覚し・体感して欲しい。
    亀澤:  消費者は毎日の生活で「旬の物」をもっと利用して欲しい。日本の農地を使いきって、それでも生産が足りないものを輸入すべきである。
    舟山:  行政は市民の感覚を、市民は公の感覚を持って欲しい。


     以上会場の閉館時刻21時ぎりぎりまでみっちりと議論していただき、たいへん熱のこもった授業を終えました。私たち一人一人が、「生物多様性保全への取り組み方」を個々に工夫し実践することが、第一歩だと感じました。何より大事なのは「実際に土を触り、木々に触れ、昆虫などを追いかけ捕まえる。季節ごとの匂いを含んだ自然の風を嗅ぐ。・・・・」のような、自然体験を、子供のころに如何に多く刷り込まれたかによって、その人の生物多様性保全への関わり方をも左右することを、パネリストの皆さまがご指摘なさったことです。このレポートをお読み下さった皆さま、ぜひ自然の中に出かける機会をお作り下さい。お父様・お母様、この夏休みは思いっきり野に山に海にお子様を連れ出してお楽しみ下さい。

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    先生紹介

    米長晴信氏


    民主党参議院議員
    (農林水産委員会委員)

    舟山康江氏


    民主党参議院議員
    (農林水産委員会委員、生物多様性対策小委員会事務局次長)
    亀澤玲治

    亀澤玲治氏


    環境省自然環境局生物多様性地球戦略企画室長
    松木洋一

    松木洋一


    日本獣医生命科学大学応用生命科学部名誉教授、アグリネイチャースチュワード協会理事長、農業と動物福祉の研究会世話人代表、有限会社アグリネイチャーいいじま取締役、NPO法人えがおつなげて顧問。この数年来、消費者団体と都市農業者がともに都市農地周辺の生き物調査をおこない、東京の農業自然≠フ再生をめざしている。
    森田美和子

    森田美和子


    アグリネイチャースチュワード協会事務局長。地元地域活動、消費者団体の活動に参加。世田谷育ち。仙台在住中、同世代の農業者から多くを体験的に学び、食と農をめぐる社会構造に対しての都市生活者・消費者の役割を考え、世田谷で都市農家と市民との、農を通した交流の場づくりを進める。