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生物多様性基本法成立記念授業:実習編 〜農業自然の番人 AgriNature Steward養成ビジネススクール〜 生物多様性農村社会をつくるための交流型人材育成スクール


オープンキャンパスレポート
 今回は、青森から愛媛・熊本まで、農業者だけではなく、流通・販売、消費者、NPO、その他様々な立場の参加者(講師含めて約50名)が、7月11日〜13日、全国各地から飯島町に集まりました。
生物多様性基本法成立記念授業:実習編

11日(金)
特別企画【実 習(1)】「手作り太陽電池出前講座」

 講師の櫻井さん(国際NGOソーラーネット)は、埼玉県小川町に拠点を持ち、ソーラーシステムの普及活動をしています。
 参加者は、小さなパネル1枚1枚をはんだでつなげていくことから始め、実際に発電できる太陽電池を完成させるところまで体験し、経営の中にどのようにソーラー技術を活用していくことができるか、各自の課題として持ち帰りました。手作りが可能な小型のソーラーの普及はこれからどんどん進んでいくでしょう。

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生物多様性基本法成立記念授業:実習編

【開講挨拶】

 アグリネイチャースチュワード協会理事長の松木先生より、本講座開催の趣旨説明がありました。配られたテキストの内容の濃さに、期待と緊張です。
 また、今回は来年から始まる関東ツーリズム大学の事務局長・曽根原氏より、飯島が長野キャンパスになる関東ツーリズム大学ついて説明がありました。

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【講 義(2)】「飯島町農業概況

 飯島町の産業課課長さんから、2つのアルプスに囲まれた飯島町は、米・果樹・花・きのこ栽培を中心とする農業が基幹産業になっていること、集落営農の歴史は古く、日本農業対象を受賞していること、しかし高齢化は進んでいることなどのお話を聞きました。



【夕食&飯島町農業者を交えての懇親会】

 全国から集まった個性豊かな50名の自己紹介は楽しく、どんどん交流の輪は広がっていきます。この日のメニューは、飯島の旬の野菜が中心です。飯島でこだわりの酒屋を経営している池上さんから、地元産のイモ焼酎やおススメの地酒の紹介もあり、懇親会は大いに盛り上がりました。

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12日(土)

 いよいよ本格的な講義の始まりです。

【講 義(3)】


(1)「アグリネイチャー『農業自然』の基本構想と経営戦略」
・ Nature Symbiotic Farming.
・「緑の政策」
・Environmental Stewardship.
・「高い自然価値」を持った農産物
・家畜の健康と福祉
・生物多様性保全
松木先生の講義は受講生の視野を広げるとともに、AgriNature Steward 養成講座がなぜ必要なのか、これから始まる多様な講義や実習の意味をしっかり押さえます。

(2)モリゾーキッコロが薦める『自然共生農業が作る農産物ブランド』
 これからの農業のあるべき方向性を考え、2005年の愛・地球博公式キャラクターを、その目指すところの環境方針をクリアした農作物のブランドマークにする構想についてのお話を聞きました。消費者に受け入れやすいキャラクターを使うことは、わかりやすい方法で、生産者と消費者が同じ価値観を共有できる方法だと思います。

(3)「飯島町の自然共生農業基本計画の概要」
 1000ha自然共生農場計画を持つ飯島町では、「自然共生農場基本計画」が策定され、普及版には10の行動計画が書かれています。わかりやすく表現されてあり、読んでいても楽しくなります。こんな素敵な農業が町の自然を作っていく(農業自然)ことを知り、町を歩いてみたくなりました。

(4)飯島町の生息生物(T)

(5)飯島町の生息生物(U)
 FM飯島研究員による飯島町の生き物の紹介です。その土地で生活する人が、自分たちの町の生き物を調査し、付き合い方を研究することは大切なことだと思います。豊富な知識と資料に驚くとともに、蛍がたくさん飛んでいるときに、ぜひ訪れてみたいと思いました。

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【講 義(4)】
「農場に生きる野生生物の知識とマネージメント T」<ビオトープ管理技術>

「ビオトープの基礎知識」と「ビオトープ計画の流れ」につて、(株)環境指標生物の新里先生の講義です。「生物間相互作用」と「生物多様性の概念」を最初に学びました。保全だけではなく、創出の活動に対して、尽きぬ好奇心とわくわくするような期待がわいてきます。

【実 習(5)】「ビオトープ建設実習」

 一昨年から「アグリネイチャーいいじま」敷地内に、1円玉ほどの大きさの真っ赤なハッチョウトンボが生息できるビオトープ建設を行っています。まずはそのビオトープでハッチョウトンボの観察をした後、もう1か所新たなビオトープを作りました。水を引いて浅い湿地を作る計画です。土を堀り、石を並べ、皆で作ったこの場所が、1年後にどのような環境になっているかとても楽しみです。
 飯島町でも昔は田んぼの周辺にハッチョウトンボが繁殖できる環境がありましたが、今は町の中の休耕田などを利用して意識的にその環境を保全しています。ある種を大切にしたいという思いは、その土地の文化なのでしょうか。心の豊かさは、人間の生存の存続につながるのではないかと感じました。

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生物多様性基本法成立記念授業:実習編

【実 習(6)】「水田・里山の生き物調査実習」

 私たちは、本当にたくさんの植物に囲まれているにもかかわらず、その特性はおろか、名前すら知ろうとせずに生活しています。「これは何ですか?」神戸大学の伊藤先生の問いに答えられる人はあまりに少ない…。畦畔に生える草、水田の中に生える草、林縁に生える植物・林の中に生える植物、食べて美味しいしい植物などをたくさん教わりました。限られた種しか日常目にしない私たちにとって、多くの植物の自己紹介はとても楽しく、新たな知り合いができた気がします。植物はとても知恵モノであり、その忍耐強さとたくましさはすごいと思いました。
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【講 義(7)】「農場に生きる野生生物の知識とマネージメントU」
<農場雑草管理技術・里山植物の多様性保全技術>

 野外での観察実習のあとは、国内外の多くの資料を見ながら、雑草管理と生物多様性の維持についての講義です。IBM(=総合的生物多様性)の技術にも繋がり、農業者の方々は真剣です。消費者としてもぜひ共有したい知識です。

【講 義(8)】「自然共生栽培の生産技術体系」

 作物が育つ生理を知り、最も適した土壌環境作りと施肥設計により、効率よく健康な野菜栽培を実践するイズミ農園・梅津氏の貴重な講義には、眠気も疲れも吹っ飛びます。人の健康を作るはずの野菜が、栽培方法によっては不健康をもたらすこと。圃場に多様な植物がある(多様性)ことで、それぞれの根が分泌する酵素と植物本体が土に戻すミネラルを有効活用でき、健全な土壌が保たれること。「みんな役割があるんだから、その命の連鎖は切らないほうがいい。」という言葉が印象的でした。

生物多様性基本法成立記念授業:実習編

13日(日)
【実 習(9)】「水田の虫見板利用技術」

 宇根先生の講義のキーワードは「まなざし」です。田んぼの実習に出る前に、まなざしについて学びました。自然を外から見る神の目(科学)と内側から見る目があること。生き物としっかり付き合う自然の内から世界を見る百姓のまなざしが衰えてきているが、それでは生き物の生息環境を管理できない。命の連鎖の中で役割がある“ただの虫”を育てているのは百姓であり、アカトンボを見つめるまなざしにある情感こそが大切。日本で年間生まれるアカトンボ200億匹の9割は田んぼで生まれており、アカトンボは「農業生物」と呼んでもよい。宇根先生の温かく骨太の語りは、心にドーンと響きます。
 講義の後、田んぼで生き物調査を行い、害虫・益虫・ただの虫、たくさん見つけました!

生物多様性基本法成立記念授業:実習編
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【「生物多様性基本法と自然共生農業」についての講師討論会】

 最初に曽根原氏より、今年6月に「生物多様性基本法」が成立したこと、7月4日に東京で行われたKTUの「生物多様性基本法成立記念授業」の報告がありました。

 松木先生の進行により、生物多様性と自然共生農業について、講師の先生方からこれまでの講義を総括しての意見が出されました。テーマは3つです。
(1)「農業者が農業自然の番人として生物多様性保全の主体となることについての意見」
(2)「農業者と他の方々との多様な連携・交流のあり方について」
(3)「具体的なビジネス事業の開発のあり方について」

生物多様性基本法成立記念授業:実習編 内容はとてもこの場でお伝えすることはできない広さ濃さボリュームでしたので、いくつかのポイントメモを皆さんも考えてみてください。
・連鎖の輪を切ればどこかが狂う。
・百姓に生き物を見るまなざし・時間を保証することを政策で保証すべきである。
・情報公開による消費者教育も重要。
・視野を広げるためにも、人の多様性が必要。
・環境クオリティーを経済価値に置き換え、わかりやすく表現していく。
・これからは民間の力で仕組みを動かすために考える場が必要。
・自覚的農業者との交流と、流通が発信する情報により生産から消費まで価値感の共有を。
・生き物調査は農業者が自分の農場の生き物と向き合うために、とても有効な手段である。
・自覚的農業者が、具体的なビジネスプランを持って事業を行っていくことがこれからは重要。

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【ワークショップ (10)】
「ビジネスプラン作成」

 6つの班に分かれ、3つの順序でプランの作成を行いました。
(1)実行したいビジネスのテーマ・アイデア
(2)事業内容
(3)3年計画のプロセス
 ビオトープをとりいれたもの、都市と農村の交流、農村体験型のものが多く出た他、福祉を絡めたもの、ビオトープ管理のノウハウの提供や、情報・広報活動なども事業としていく案がでました。今後、アグリネイチャースチュワードとして実践を積み、得た知識をそれぞれの事業の中でどのように活かしていくか、期待されます。

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【資格試験 (11)】

 14時から2時間、テキストを見ながらではありますが、この講座で学んだことがどれだけ自分の中に落ちたでしょうか。自ら深く考え、記述する問題もあり、この3日間で学んだことの総復習です。


 講座を終えて。
 目からウロコ、ますます前進、脳みそ沸騰、参加者の得たものはそれぞれでしょう。
 ここでの出会いは初めの一歩、これからが始まりです。
 自然と共生する農業、その価値を理解する市民。それぞれの立場で共有し、協同して生物の多様性を大切にする文化を持った社会を作ることは夢ではありません。
 人の手がはいらない原生自然の険しい山々に囲まれながら、人が関わって作り出してきた豊かな農業自然を再確認する飯島町で、意思ある人々が集う、とても素敵な3日間でした。



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先生紹介
松木洋一

松木洋一


日本獣医生命科学大学応用生命科学部名誉教授、アグリネイチャースチュワード協会理事長、農業と動物福祉の研究会世話人代表、有限会社アグリネイチャーいいじま取締役、NPO法人えがおつなげて顧問。この数年来、消費者団体と都市農業者がともに都市農地周辺の生き物調査をおこない、東京の農業自然≠フ再生をめざしている。
アグリネイチャースチュワード協会

アグリネイチャースチュワード協会


 本来の農業が持つ“自然環境を保全し生物多様性を維持していく機能”を重視し、自然共生農業の実現を目指すネットワーク。
 協会が提案する自然共生農業は、古くから日本農業が実際に進めてきた“自然と相互依存する”という関係を、科学的知識を基本にして自覚的に実現することを図るものです。農薬などの使用が少なかった昭和30 年代の豊かな生物生態系を復元することを目標として、科学的データをもとに自然共生農業の実現程度をはかる「生物指標」という環境価値基準を設定し、農業経営の育成と地域農業振興事業を支援します。
 そして自然共生農業システムに基づいて生産された農産物に高い自然価値を見出すとともに、農業の多面的機能がつくりだす農業自然(アグリネーチャー)を楽しみ、教育の場として利用していく「環境サービス機能」を新たに高く評価しています。

講師陣のみなさん


秋山侃(GPS 利用)岐阜大学教授 流域環境研究センター
阿部治(環境教育)立教大学教授 社会学部・大学院異文化コミュニケーション研究科
伊藤一幸 (雑草管理技術) 神戸大学教授 農学部熱帯植物学教室
糸長浩司 (エコビレッジ計画) 日本大学教授 生物資源科学部
宇根 豊 (生き物共生技術)NPO 法人農と自然の研究所代表
梅津鐵一 (土作り技術)(有)イズミ農園社長
佐藤洋平 (レクレーション計画)東京大学大学院名誉教授
曽根原久司 (農村ツーリズム) NPO法人えがおつなげて代表理事
永松美希 (フードチェーン)日本獣医生命科学大学准教授
新里達也 (昆虫・ビオトープ)(株)環境指標生物社長
羽山伸一 (野生動物管理)日本獣医生命科学大学准教授
松木洋一 (自然共生農業)日本獣医生命科学大学名誉教授
南正人(エコツーリズム)ワイルドライフコミュニティ研究所代表
斉藤久男(自然観察実習)フィールドミュージアムいいじま代表
中村千賀(自然観察実習)同上 常任研究員
知久平彰 (自然観察実習)同上 常任研究員
浜田 稔 (IT活用観察実習)同上 常任研究員
吉田保晴 (自然観察実習)同上 常任研究員
米山富和 (自然観察実習)同上 常任研究員
米山妙子 (自然観察実習)同上 常任研究員
和田一雄 (野生動物管理)同上 客員研究員 (前東京農工大学教授)
矢崎栄司 (有機フードシステム)  アースワーク主宰
福田高志 (ブランド開発)(株)アイスクウェア代表取締役社長