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「ツーリズムは持続する地域づくりです」

 私は、農業という生産基盤が無いところにグリーン・ツーリズムは存在しないと公言してきました。何故ならばグリーン・ツーリズムを地域振興でなく、地域経営と考えているからです。地域経営の先にあるものは様々な要素が重層的に絡み合う地域自立です。
 一例を挙げれば、地域の食の安全確保です。食の安全とは有機農産物を生産するという狭隘なものでなく、地域の食料確保や文化、景観の保全を行いつつ「ここに暮らしていることの幸せ」を実感することなのです。過去にどのような農業施策を投じても、担い手の減少を食い止められなかったと思いますが、グリーン・ツーリズムの受入農家に次の担い手が戻りつつあります。また20代の女性たちが農業に大きな関心を寄せていることも事実です。このように暮らし全般に波及効果・相乗効果を出すのがグリーン・ツーリズムの大きな特徴です。
 地域にはそれぞれの持ち味があります。地域資源は多様であり、それを最大限にかつようできる環境を整えなければなりません。10年の歳月を経たグリーン・ツーリズムは、全国各地において熟成し発酵の段階に入っています。それは決して受け入れる人だけでは地域は発酵しません。訪れる人と受け入れる人の双方の心が触れ合ったときにのみ発酵が始まるのです。農山漁村はいわば、心の発酵を促す触媒としての場です。
 地方分権という言葉とは裏腹に、地方はいきなり大海にライフジャケットだけで投げ出されました。この海には「海猿」はいませんから、遭難しないためには各地方の力量が必要です。地方の力量を発揮する大きな要素は「人財力」です。
 関東ツーリズム大学は、地域に埋もれた人という原石を磨き宝石とする場であると同時に、地域を担う新たな人財を創る楽しい大学になることを期待しています。

井上 弘司(いのうえ ひろし)

井上 弘司(いのうえ ひろし)

関東ツーリズム大学協議会委員
第2次「観光カリスマ百選」
(内閣府/国土交通省)
地域活性化伝道師(内閣府)
地域中小企業サポーター(経産省)
教育ファーム推進検討委員(農水省)
地域に根ざした食育推進協議会委員(農水省)
地域に根ざした食育コンクール審査委員(農水省)

主な著書・著述に、「ドングリの森小学校物語」(講談社)、「食農教育で農都両棲の地域づくり」(農文協)、最新は「農業2007.5月」(大日本農会)、ほか地域づくり、食育、体験活動など多数の雑誌に執筆

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